先日、米国の元副大統領アル・ゴア氏の講演を聞く機会がありました。ゴア氏は2007年にノーベル平和賞も受賞しています。受賞理由は、「人間の活動によって引き起こされる気候変動の問題を知らしめ、対応策の土台を築いた」というものです。周知の通り、「不都合な真実」と題した映画を作り、また同名の本を出版して、地球温暖化がもたらす深刻な環境悪化の問題を世界に知らしめる活動に注力している人物です。現在までにこのテーマで行った講演活動の回数は1000回以上にもなるそうです。
彼の話を聞きながら、それこそ、数十億年も続き、人類が誕生してからでも数十万年も続いてきた地球の生態系が、直近の数十年、特にここ最近の20年~30年程度の間にどれだけ急激に悪化したか、ということについての危機意識を新たにしました。地球温暖化は確実に進み、北極と南極の氷河はどんどんその面積を縮小しつつあり、いたるところで海面が上昇し、異常気象が頻発しています。デング熱を始め、熱帯の病気が北上を続け、また、先日は、世界で4番目の大きさといわれていた中央アジアの内陸湖であるアラル海がほぼ消滅した、というニュースも耳にしました。
ゴア氏は、地球温暖化は急速に進行中であり、それが人為的であること、そして人類が生き延びるためには、温暖化問題に世界全体が協力して取り組まなければならない、ということを巧みな話術で熱弁しました。彼の映画はイギリスで上映差し止めの訴訟沙汰になったり、また彼自身が温暖化利権で環境長者になった、ということでネガティブなキャンペーンもありますが、彼のように世界的に影響力のある人物が、この問題に長期にわたって精力的に取り組み、さまざまな活動を続けていることには素直に感銘を受けました。また、同時に、今からでも我々一人一人が地球を守る為の意識をさらに高めて行かねばならないという思いを新たにしました。
ゴア氏といえば、思い出すのはクリントン大統領と一緒に情報スーパーハイウェイ構想を打ち立てたことです。1993年頃ですから、まだインターネット前夜でしたが、放送と通信の融合など、情報インフラ整備の積極的な政策を打ち出して一気にネットワーク時代の到来を招き、後のグーグルの登場にも繋がりました。情報スーパーハイウェイ当時、私はソニーで関連のプロジェクトに携わっていたので感慨深いものもありました。
2000年の大統領選では、ジョージ・W・ブッシュと最後まで激戦を繰り広げて僅差で落選しましたが、歴史に「もし」はないものの、「もしも」彼が勝利していたら、その後の9.11やイラク戦争もどうなっていたかわかりませんし、世界はまた違った姿になっていたかもしれない、などといういらぬことも妄想してしまいました。。。
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