2019年3月11日月曜日

東日本大震災から8年

東日本を襲った大震災から丸8年が経過しました。ざっと振り返ってみると、まさに激動の8年間だったように感じます。震災からの復興では、この歳月で進んだ部分と進まない部分がありますが、福島の原発災害の後処理の進捗や放射能汚染の実態については、本当のことがよくわからない、というのが多くの人たちの感覚でしょう。

加えて、最近では厚労相の統計問題が深刻ですが、森友問題での財務省による公文書改竄あたりから、だんだんと自分の母国が信用できなくなってきました。森友・加計問題をはじめ、スーパーコンピュータの補助金問題や、リニア新幹線の汚職、裁量労働制を巡る不正データ問題や、省庁や自治体などでの障害者雇用の水増し問題など、ここ数年で起きた日本の中枢が絡むさまざまな事件について、結局真相は何も解明されないまま、あるいは国民に知らされないまま、どんどん世間から忘れ去られていきます。

真相を知る人たちがそれを言わずに隠す、責任を取る立場の人たちが責任を取らずに開き直る、真実を追求する立場の人たちがその責務を果たさない、といった光景が今や当たり前のようになっていますが、当たり前にしていて良いはずがありません。

3月11日を迎え、あらためて8年という歳月の重さを認識しつつ、そんなことを思いました。

2019年1月1日火曜日

2019年 新年のご挨拶

新年おめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い致します。

本年4月末での天皇退位が決まってから、メディアなどで「平成最後」という表現が頻繁に使われるようになりました。日本人は、このように時間の流れをいろいろと区切ってラベルを貼り、けじめにしたり、その時代を語ったりするのが好きですよね。「昭和の時代を振り返るとか」「平成の30年とは何だったのか」といったようなタイトルのテレビ番組や新聞の特集記事などが年末年始には溢れていました。

これは、日本人が時代の流れや歴史を考える時の特性として良いことでもあると思いますが、その一方で、世界を俯瞰すると、「昭和」とか「平成」とかという日本特有の時間の塊は存在せず、ただ連続した時間の流れが過去から現在そして未来へと連綿と続いているだけです。時間の流れに対する捉え方というのは我々の世界観や発想法にも影響を与えていると思います。

「昭和世代のオヤジ」とか「平成生まれの若者達」などという表現は、一見わかりやすいようですが、無意味なレッテルを貼って我々の解釈を惑わせたり、思考停止にしてしまう危険な表現でもあるような気がします。今年は、あらためて世の中の常識や慣習に流されず、自分の眼と耳と頭で判断することを心掛けたいと思います。

2019年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますことを祈念しております。

2018年12月26日水曜日

台湾嘉儀市国立中正大学訪問

先日、ご縁があって台湾嘉儀市にある国立中正大学にご招待いただき若い学生さん達と交流してきました。台湾のテレビ番組などで有名で「台湾の林修先生」と呼ばれる教育者であり起業家でもある王宇先生がすべてアレンジしてくださいました。中正大学の郝鳳鳴副校長先生と崔曉倩先生、沖縄を拠点にアジアで教育事業を展開している加納さんにも大変お世話になりました。

嘉儀市は台中と台南の中間位に位置する歴史ある地方都市です。台北の松山空港から入国しましたが、台北から台湾新幹線で1時間半程度のところですから距離的には東京からだと名古屋位の感覚です。中正大学は蒋介石にちなんで1989年に創立された総合大学で、広々としたキャンパスで伸び伸びと大学生活を楽しむ学生たちの姿は米国の大学のようでした。

昔ソニーでパソコンビジネスをやっていた頃には頻繁に訪れていた台湾ですが、経済学者のラム・チャランによるとこれからは北緯31度よりも南の地域の時代です。今や日本のシャープも台湾のホンハイ傘下の企業になりました。パソコンや半導体などで技術・産業立国に成功した台湾のエネルギーには凄いものがあります。人口は2300万人ですから日本の5~6分の1程度ですが、技術革新やグローバルなビジネスセンスの面では見習うべき点が多くあります。親日でも知られる台湾とはこれからもいい関係を維持していきたいものです。

さて、アレックス通信も今年はこちらが最終号となります。今年も皆様には大変にお世話になりました。社員一同心から感謝申し上げます。どうか良い新年をお迎えください。

 

2018年11月21日水曜日

GAFAの脅威

GAFAが今年の流行語大賞にノミネートされました。いうまでもなく、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を並べた造語です。

スコット・ギャロウェイ著「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)も売れているようです。著者は 「世界最高のビジネススクール教授50人」に選ばれたことのある連続起業家で、ブランド戦略やデジタルマーケティングの専門家でもあります。私も読みましたが、著者の偏見や好き嫌い、若干の私的な恨み節も含めて、GAFAそれぞれの「表の顔」と「裏の顔」をうまく描き分けていると思いました。

GAFAは、資金力、技術力、人材力といった面で他の追随を許さないグローバルプラットフォーマーとして、「データ資本主義」時代を象徴する圧倒的な存在です。半ば社会インフラ化した存在で、我々の日常生活はGAFAに大きく依存するようになりました。今やグーグル検索やアマゾンのサービス無しの生活は考えられません。

GAFAのサービスやプロダクツは実に便利ですが、一方で、利用者は使うたびに自分自身の好みや行動履歴などさまざまな情報を彼らに無償提供しています。その結果、本人が意識しているしていないは別として、多かれ少なかれ自分の思考や行動を彼らにコントロールされています。

中国でもアリババなどが集めたデータは中国政府によって国民をランキングしたり監視するデータとして使われています。 米国の国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)で働いていたエドワード・スノーデンも権力による監視社会の実態を暴露しています。

利便性はプライバシーとのトレードオフですから、我々が現在手にしているさまざまな利便性の裏には常にプライバシーの問題があることだけは忘れてはならないと思います。

2018年10月17日水曜日

国宝犬山城

先日、仕事で名古屋を訪ねた際に、少し足を延ばして犬山城に行ってみました。室町時代の天文6年(1537)に築城され、現存するのは明治24年(1891)の濃尾大地震で半壊の後に修復された天守のみですが、日本最古の様式だそうで国宝に指定されています。悠々と水をたたえる木曽川沿い、当時の交易、政治、経済の要衝に建てられ、 戦国時代には信長、秀吉、家康がこの城を奪い合いました。歴史の荒波を生き残った天守最上階からの眺めはまさに絶景で、周辺には城下町の古い町並みや、多くの観光施設があります。悠久の歴史に思いを馳せながら、しばしの気分転換となりました。

2018年9月12日水曜日

沖縄の未来は日本の未来

(講談社現代ビジネスの連載から転載)

沖縄こそが日本の未来の牽引役

今月は自民党の総裁選と沖縄の県知事選がある。かねてから、私は日本の総理大臣にはぜひ沖縄出身者になって欲しいと強く思っている。

理由は二つある。

まずその一つは、沖縄こそが広島や長崎と並んで日本の中で最も平和の価値を骨身に染みて理解している土地だと思うからだ。

以前、「ひめゆり平和祈念資料館」や「旧海軍司令部豪」を初めて訪ねたときの衝撃は今でも忘れられない。沖縄の過酷な運命に心を寄せることは平和な日本を築く上での第一歩だと思った。

そしてもう一つは、地球規模で考えると、これからは南の地域が加速度的に大きく発展していくことになるが、日本最南端に位置する沖縄こそが、アジア太平洋地域の活力を引き込んで日本の未来を築く牽引役だと考えるからだ。

ハーバード・ビジネス・スクール元教授、経営コンサルタントのラム・チャランは著書『GLOBAL TILT(邦訳:これからの経営は「南」から学べ)』(日本経済新聞出版社)の中で、「ビジネスと経済のパワーが、北側の国々から、北緯31度線より南側の地域へシフトしている」と言っているが、日本では沖縄県だけが全域その地域に当てはまる。

もともと沖縄は、琉球王国としての独立性を保ちつつ、明や清の時代の中国や、日本といった周辺の強国と巧みな平和外交を行いながら交易の拠点として栄えた。

しかしその後、薩摩による琉球侵攻や明治政府による琉球処分によって日本による統治の時代を迎え、日清戦争を経て日本がその領有権を確定させた。

太平洋戦争中は旧日本軍の軍事拠点としてアジアへの前線基地的な役割を果たしたことで連合軍の標的とされ、「鉄の暴風」と呼ばれ地形が変わるほどの激しい空襲や艦砲射撃を受け悲惨な地上戦の舞台となった。

戦後は27年間にわたって米国の統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たしたが、米軍基地や日米地位協定の問題は今日に至るまで沖縄住民に大きな負担を強い続けている。

日本に支配され米国にも攻め込まれて戦場となり制圧された沖縄の歴史はまさに波瀾万丈で、その苦悩や屈辱は沖縄の人たちにしかわからない。

特に太平洋戦争では多くの一般市民が犠牲になり、その後も米軍基地を抱え続けてきたがゆえに、今日に至るまで常に戦争を身近に肌身で感じてきた。だからこそ平和の価値を誰よりも皮膚感覚で理解している。

戦争を体験した人、戦争を知らない人


ところで、1957年生まれの私は戦争を知らない。

北山修氏と杉田二郎氏が『戦争を知らない子供たち』をリリースしたのが1970年だったから、ちょうど中学に入った頃だった。

当時の戦争を知らない子供たちも今ではもうみんないい歳だ。安倍晋三総理をはじめ現政権を担っている人たちや、中西宏明経団連会長など経済界の人たちも誰も戦争を知らない。

「歴史は繰り返す」と言うが、それは人間の寿命と関係している。

悪しき歴史も悲惨な過去も、それを実際に体験した人たちがこの世からいなくなることによって、貴重な体験が忘れ去られたり薄まったりしてまた同じようなことを繰り返すからだ。人間とは愚かな存在なのである。

戦後生まれの戦争を知らない世代がマジョリティとなって社会の要職を占めるようになると、「戦争は二度と起こしてはならない」という当たり前のことすらだんだんわからなくなっていく。

現に、2015年に安保法制を強行採決した現政権は、防衛装備移転三原則などで実質的に軍事ビジネスを解禁した。防衛省が民間企業を引き連れて海外の武器展示会などに出展している光景は、まさに戦前の軍産複合体を彷彿させる。

防衛副大臣が得意然として銃を構え「今後この分野を日本の産業として支える。どんどん成長して欲しい」と語る姿がネットなどで流れたことがあるが、実におぞましい思いがした。

ノンフィクション作家の立石泰則氏が『戦争体験と経営者』(岩波新書)という本を出した。

ダイエーの中内功氏やワコールの塚本幸一氏など、生き地獄のような戦場を体験したからこそ、生き延びて復員してからは徹底して平和主義を貫いた戦後の経済人を数名取り上げ、彼らの平和へのこだわりと迫力ある生き様を簡潔に描いている。

中内氏は、憲法改正や防衛力強化の必要性を経済界の会合で主張する関西財界の重鎮で当時権力の絶頂にあった住友金属会長の日向方齊氏に対し、時の権力者に臆して沈黙する周囲をよそに、一人面と向かって「異議あり」と激しく反論したそうだ。

また、ノモンハン事件に従軍し、ラバウルなどの南方戦線にも送られたケーズデンキの創業者加藤馨氏は、2012年に第二次安倍政権が誕生して「憲法改正」を唱えるようになると危機意識を強めた。

すでに95歳を超えていたが、ある日突然課長以上の全社員を本社会議室に集めるように指示し、自分の戦争体験を話して聞かせ、「みなさん、よく聞いておいてください。戦争は二度と起こしてはいけないものです。あってはいけないものなのです」と述べたという。

「沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない」

米軍基地問題で現政府と対立し、8月に亡くなった沖縄の翁長雄志前知事は、その著書『戦う民意』(角川書店)の中で「基地問題を解決しなければ、日本が世界に飛躍できない。沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない。沖縄のためになることは日本のためになり、さらには世界のためになる」と述べている。

さらに、「離島である沖縄は、海で四方が閉ざされているのではなく、海で諸国とつながっているという世界観を持っています。そして、沖縄戦という未曽有の体験を経て、平和に対する絶対的な願いを持ち続けています」とも述べている。

これらの毅然とした翁長氏のメッセージからは、まさに政治家のイデオロギーというよりも沖縄のアイデンティティそのものが伝わってくる。

我々本土に暮らす者たちは、沖縄の苦悩に対してどこか他人事のように距離を置いてはいないだろうか。

基地負担に関して、「振興予算をもらっているんだから文句を言うな」という論調も根強いが、これほど沖縄の人たちの尊厳や誇りを傷つける言い方もないだろう。

現政府の基地問題に対する一連の対応を見ていてもいかにも冷淡だ。翁長氏は、政府や本土の人たちとの意識の擦れ違いの根深さ、どうにも埋まらない溝についての沖縄の人たちの感覚を、「魂の飢餓感」という言葉で表現していた。

日本全体で沖縄が抱えてきた負担や苦悩にあらためて心を寄せ、その負担や苦悩を沖縄だけに押し付けるのではなく、日本全体で分かち合っていく以外に、基地問題の解決も日本の安全保障の前進もない。

日本に暮らす以上、沖縄に無関心であってはならない。

沖縄の実情を自分事として捉える姿勢と行動こそが、まさに翁長氏が言ったように、平和国家としての日本の自覚と自立を揺るぎないものとし、世界における日本の立場と役割を明確にしていくことになるのではないか。

本土に暮らす者が沖縄のことを語るのは簡単ではないしおこがましくもあるが、今回の沖縄県知事選は日本の将来を占う大事な選挙だ。投票権のない沖縄外の人たちにとっても、沖縄への理解を深め日本の将来を見つめ直すきっかけにしたい。

2018年8月8日水曜日

酷暑の夏

今夏の記録的な猛暑は、連日のようにニュースや天気予報で取り上げられていますが、これは日本に限ったことではなく、ヨーロッパやアメリカなどでも大変な暑さになっているようです。

気候変動にはさまざまな要因があるのでしょうが、人口爆発や急激な経済成長に伴う環境汚染、廃熱なども温暖化の一因になっているのは間違いのないところでしょう。この状態が続くとすれば、巷で騒がれているように2020年の東京オリンピックも大変に過酷なものとなるのは間違いありません。それとも、不安定な気候変動が2020年には突然冷夏をもたらすような幸運もあり得るのでしょうか。

地球環境の変動は、猛暑だけでなく、地震や集中豪雨などの自然災害を大規模化する傾向をもたらしてもいます。先日、西日本一帯を襲った大雨は、短時間のうちに広域にわたって大勢の人々の命を奪ったり生活を破壊しました。あらゆる意味において、これからは「想定外はない」「他人事はない」という認識が必要なのだと痛感します。被災するかしないかは、まさに「たまたま」「紙一重」といった違いにすぎないのです。

今日平穏な一日を過ごせたなら、そのことへの深い感謝を忘れないようにしたいものです。