ユヴァル・ノア・ハラリの二作目の世界的ベストセラー『ホモ・デウス』の主題を手短に要約すると「飢饉、疫病、戦争という災厄を克服してきた人類の新たな目標は、ホモ・サピエンスからホモ・デウス(神としてのヒト)へのアップグレードであり、不死、幸福、神性の追求である」ということだったと思いますが、変わらねばならない最も重要なことは、まさにこの「人類の驕り」なのではないでしょうか。
世界で最も傲慢な大国である中国と米国をみればそれがよくわかります。中国はこの疫病の感染源として世界に甚大な被害をもたらし、一方の米国は感染者数と死者数において世界最悪の状況となりました。コロナ禍以前は、この二つの大国はそれぞれのエゴを剥き出しにして覇権争いにうつつを抜かして世界を振り回していました。
テクノロジー至上主義や経済至上主義がもたらした人類の万能感は、ちょっと変異したコロナウイルスを前にして脆くも崩れ去ったのです。今後、人類がこの地球で生き残っていく上で最も重要な概念や態度は「謙虚さ」や「畏れ」ということなのではないかと感じています。これからの科学技術や経済発展は、あらためて人類がその原点に立ち戻らないことには非常に危うく脆いものになる気がいたします。
「ノーマル」とは「正常」という意味です。私自身は、これまで「異常」が当たり前になっていたような世界が正常に戻ることを「ニューノーマル」と解釈したいと思っています。