2011年1月30日日曜日

モルモットたれ

この写真は、ソニーの創業者の井深さんが叙勲された時に、社員から贈られたたものと言われている。井深さんは、大宅壮一から、「ソニーは東芝のモルモットのようなもの」と揶揄されたことに対し、最初は憤慨したが、やがて以下のように言っている。

「私どもの電子工業では常に新しいことを、どのように製品に結び付けていくかということが、一つの大きな仕事であり、常に変化していくものを追いかけていくというのは、当たり前である。決まった仕事を、決まったようにやるということは、時代遅れと考えなくてはならない。ゼロから出発して、産業と成りうるものが、いくらでも転がっているのだ。これはつまり商品化に対するモルモット精神を上手に生かしていけば、いくらでも新しい仕事ができてくるということだ。」

この井深さんの言葉の中にまさに当時のソニーの真髄があった。

当時から長い時間が経過し、世の中は様変わりしたが、私は、今の時代を以下のように捉えている。
  1. 世の中が混迷状態なのは新しい秩序に遷移する転換期だから。
  2. 転換期には多くの新しい事業創出機会がある。 
  3. GoogleやYouTubeを始めとしたクラウド環境や無限のコンピューティングパワーが人々に安価に開放されている恵まれた時代。これらをグローバルインフラとして積極活用すればグローバルビジネスを容易に立ち上げることが出来る。
  4. アプリケーション、コンテンツ、データ、そしてサービスにフォーカスできる時代になった。 
  5. オールドマーケティングの手法から脱して、 AdWordsなどのオンライン広告や、 FaceBookなどのソーシャルネットワーク、Twitter、Ustreamなどを駆使したフラッシュ・マーケティングを活用すれば、精度が高く迅速なマーケティング活動やセールス活動が可能。
すなわち、ネットの時代こそ、モルモット精神を発揮することによって新たな事業創出機会をいくらでも見つけ出すことが出来るのだ。ネットの時代はやるよりやらないことのリスク(機会損失リスク)の方が高い時代とも言える。あらためてモルモット精神の原点に立ち返りたいと思う。

2011年1月5日水曜日

2011年以降

新年おめでとうございます。昨年創業した新会社も今日から仕事始めです。今年は大切な年になりますので一歩一歩頑張っていこうと思います。ところで、インターネットのbeforeとafterで世の中のスピードが驚くほど変わりましたが、変化は今後も加速する一方だと思いますし、今年もさまざまな新しいことが起きる年になるだろうと思うと非常に楽しみです。ところで、今、その変化を生み出している中核がITリテラシーの高い人達であることに改めて目を向けておきたいと思います。

先日、私の知り合いがTesla Motorsに転職しようとしてメールしたら、5分で返事が来て、1時間後には採用面談のスケジュールが確定した、ということで、そのスピードに感動して連絡をくれました。しかし、考えてみれば、Teslaもシリコンバレー発で、PayPalやeBayやGoogle等、IT系の人達が大勢関わって設立された電気自動車会社ですから、ITスタイルとITスピードで発想し、行動するのはごくごく当たり前とも言えます。これからは、車もガソリン車の時代が終わって電気自動車の時代になるとすれば、それはもはや新しいITデバイスであるとも言えるわけで、Androidを搭載し、クラウドと連携して走る車が登場する時代が来るのもそう遠い話とは思えません。実際、Googleは無人走行の自動車を試験開発したりもしています。

http://jp.techcrunch.com/archives/20101009google-automated-cars/

記事によると、Eric Schmidtは、「車がコンピューターより前に発明されたのは間違いだ。車は自分で走るべきだ。そうに決まっている。」というようなことを述べたようです。

別の例としては、今年もラスベガスでCESが開催されますが、Vizioの発表などは注目に値すると思います。

http://jp.wsj.com/index.php/Business-Companies/Technology/node_166011

私は、これからのテレビやPCやモバイルは、すべて「雲(Cloud)を覗く窓」として再定義していかねばならないということをいろんな場で述べて来ましたが、その考えに非常に近いものをAndroidベースで構想して作り上げて来たのは、従来までの家電大手等ではなくて、Vizioのような新興企業であるわけです。もちろん、TVやPCやモバイルなどの再定義に最初に着手して成功させたのはAppleです。ですから、今後はやはりIT系の人達や新規参入組が中心になって家電やPCの再定義が一気に進むものと思われます。ここでも、Goolgeは「Google TV」としてテレビの再定義を行っていますし、今年、Androidに加えて、予定通りにChrome OSが商品化されれば、Windows PC等の従来デバイスの再定義はさらに加速されて行くでしょう。

上記のような流れの中で、従来の日本の自動車大手、家電大手は、相当頑張らないと、ITの人達が考える新しいコンセプトのハードウェアの下請け製造業に成り下がってしまうと思います。そのためには、やはり相当なスピードで新しいチャレンジを矢継ぎ早に定義して実行していかねばならないと思います。幸い、日本の大企業には累計で200兆円を超えるキャッシュが溜まっていると聞いています。今年は、各企業が、新たな成長戦略を定義して、積極的にリスクマネーを張って行く年にしていかねばならないと思います。