近畿大学が注目を集めています。最近では、ホリエモンの卒業式スピーチや、つんくの入学式での登壇が話題となりました。同大学は建学の精神に「実学教育」を打ち出していますが、何といっても知名度を一気に高めたのはクロマグロの完全養殖に成功したことが大きいですね。大阪グランフロントや東京銀座の「近畿大学水産研究所」の前は食事時になるといつも長蛇の列です。クロマグロの完全養殖は歩留まりが極めて低く難易度が高いとされてきましたが、30年以上の歳月を掛けた取り組みが実を結びました。商品化や流通には豊田通商やサントリーなどの企業が協力しています。食品の世界で、大学が研究成果を生かし、自ら生産したものを、産官学の連携で専門料理店まで出して消費者に直接提供するケースは初の試みとされます。ニホンウナギが絶滅危惧種指定されましたが、ウナギの完全養殖にも挑戦中だそうで、こちらにも期待が高まります。
ところで、同大学は、実学教育を標榜しているだけあって、さまざまなことに対する取り組みが先例や常識に捉われることなく、合理的です。昨年はアマゾンジャパンと、「教育、研究、学生サービス充実を図るための連携協定」を締結しました。アマゾンジャパンが教育機関と連携協定を結ぶのも同大学が初めてということです。この協定に基づき、同大学では、今年度からamazon.co.jpでの教科書販売を本格的に実施しました。東大阪キャンパスは8学部と短期大学部、大学院からなり、学生総数は約2万3000人の規模を誇ります。学生用ポータルシステム「近大UNIPA」上で自分の履修する授業を確認し、そこからリンクされたアマゾンのオンラインショップで教科書を購入することができるようになったそうです。協定締結直後の昨年後期も、アマゾンの特設サイト「近畿大学教科書ストア」で教科書を購入することができたようですが、今年は学生の履修確認システムが直接オンラインショップにつながったことで、利便性が格段に高まったそうです。
教科書販売の世界はそもそも既得権益の世界で、この「今さら?」というレベルの「改革」を断行するのですらさまざまあったようですが、学生にとっては、教科書一斉販売時期の学内書店の大混雑を回避できるので好評のようです。また、この連携によって、大学が発行する授業計画を必要に応じて印刷する「プリント・オン・デマンド」も出来るようにしたそうで、それまで数百ページに及ぶ授業計画を印刷製本して学生に一冊ずつ配布していたものを大幅な事務合理化とコスト削減に繋げました。
大学改革も一歩一歩なのでしょうが、近畿大学のように実践的な大学が増えて行けば日本の産学連携のレベルもさまざま変わっていくことでしょう。
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