2023年8月1日火曜日

アマゾンの生体認証「アマゾン・ワン」

 アマゾンは、今から約3年前に、生体認証決済の仕組み、 アマゾン・ワン(Amazon One) を立ち上げ、すでにカリフォルニア州などの一部の店舗でテストしていて、20州の200店舗以上で利用可能にしています。同社は7月21日、この仕組みを、2017年に買収した傘下の食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」の全米500以上のすべての店舗で年内に利用可能にするという計画を発表しました。

アマゾン・ワンは、手のひらのデータを登録し、アカウント情報やクレジットカード情報をひも付けるもので、顧客は手のひらを店頭のスキャナーにかざすだけで決済が行えます。この決済を利用する顧客は、事前にアマゾン・ワンに登録を行い、手のひら情報と共に、携帯電話番号やクレジットカードあるいはデビットカードの情報を入力する必要があります。手のひらの登録は、アマゾン・ゴーやホールフーズの店舗で可能だそうです。アマゾンは、登録作業には1分も掛からないと言っています。

アップルは、iPhoneで顔認証を実用化していますが、今回紹介したアマゾンの手のひら認証など、すでに海外では生体認証が主流になる流れです。インドでも、国民IDシステムとして、「アドハー(Aadhaar)」という指紋認証、顔認証、虹彩認証を組み合わせた生体認証システムが広く浸透しています。

世界では生体認証が主流となる中、「マイナンバーカード」による個人認証で大きく躓いている日本は、何とも時代遅れな印象です。ちなみに、アドハーのマルチモーダル生体認証には、日本のNECの技術が採用されています。個別には強い技術を持ちながら、それを足元の自国ではデジタル時代の社会基盤作りに活用できていないというのは、何とも皮肉な話です。