2015年7月22日水曜日

天空の森

鹿児島に、「天空の森」というリゾートがあります。最近では、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」ともタイアップしていて、テレビCM等で紹介される機会も増えました。先週、その「天空の森」にオーナーの田島さんを久し振りに訪ねました。ここのところ、「おもてなし」という言葉がはやり言葉となっていますが、そもそもおもてなしとは何なのでしょうか。「お客様は神様です」という言葉がはやった時代もありました。田島さんは、長いこと「本物のおもてなしとは何か」をまるで求道者のように追及している人です。山を丸ごと購入してほとんど手作りでそこを開墾し、「天空の森」を作りました。日本にも小洒落た宿泊施設が増えて来ましたが、果たして、世界の超一流を知っている人達が何度でもリピートしたくなるようなおもてなしが出来ているところはどのくらいあるのでしょうか?田島さんが作ろうとしている理想郷が、今後どのような形に変貌して行くのかを密かに楽しみにしています。
 

2015年6月24日水曜日

少しだけ無理をして生きる

人は、ミスを犯しやすい人と犯しにくい人に分かれます。ミスを犯しやすい人は、同じミスを二度としない人と、何度でも繰り返す人に分かれます。ミスを犯しても、同じミスを繰り返さない人には成長の伸びしろがあります。また、ミスを犯しても、そのミスをすぐに挽回するような、転んでもただでは起きないタイプの人にも成長の伸びしろがあります。一方、ミスを犯しにくい人でも、時間ばかりかかって慎重すぎる人もいます。そもそもミスを犯すようなことには手を出さない人もいます。また、人は、何をやらせても手を抜かずに全力でやる人と、適当に済ませる人に分かれます。何事にも手を抜かずに全力でやる人にはやはり大きな成長の伸びしろがあります。適当に済ませてばかりいる人は、いつまでたっても中途半端なまま、気が付くと、手を抜かずに全力でことにあたることが出来ない人になってしまいます。いちばん望ましいのは、アクションが速くて、何事にも手を抜かずに全力で向き合い、時にミスは犯すけれども、同じミスは二度と起こさず、また、ミスを犯しても、それを逆転のエネルギーに転嫁できるような人です。そういう人は、高い学習能力や機転を利かせる能力に優れ、自分の限界値を高めていく才能があるので急成長していく人です。城山三郎氏の作品に、『少しだけ、無理をして生きる』という優れたエッセイがありますが、いつも自分の限界値に対して、少しだけ無理をして生きていると、途中で折れたり、息切れすることなく、自分を継続的に成長させていくことができるのではないでしょうか。そしてそのような人は周囲にもさまざまな良い影響を与えてくれることでしょう。

2015年5月27日水曜日

実学教育を実践する近畿大学

近畿大学が注目を集めています。最近では、ホリエモンの卒業式スピーチや、つんくの入学式での登壇が話題となりました。同大学は建学の精神に「実学教育」を打ち出していますが、何といっても知名度を一気に高めたのはクロマグロの完全養殖に成功したことが大きいですね。大阪グランフロントや東京銀座の「近畿大学水産研究所」の前は食事時になるといつも長蛇の列です。クロマグロの完全養殖は歩留まりが極めて低く難易度が高いとされてきましたが、30年以上の歳月を掛けた取り組みが実を結びました。商品化や流通には豊田通商やサントリーなどの企業が協力しています。食品の世界で、大学が研究成果を生かし、自ら生産したものを、産官学の連携で専門料理店まで出して消費者に直接提供するケースは初の試みとされます。ニホンウナギが絶滅危惧種指定されましたが、ウナギの完全養殖にも挑戦中だそうで、こちらにも期待が高まります。

ところで、同大学は、実学教育を標榜しているだけあって、さまざまなことに対する取り組みが先例や常識に捉われることなく、合理的です。昨年はアマゾンジャパンと、「教育、研究、学生サービス充実を図るための連携協定」を締結しました。アマゾンジャパンが教育機関と連携協定を結ぶのも同大学が初めてということです。この協定に基づき、同大学では、今年度からamazon.co.jpでの教科書販売を本格的に実施しました。東大阪キャンパスは8学部と短期大学部、大学院からなり、学生総数は約2万3000人の規模を誇ります。学生用ポータルシステム「近大UNIPA」上で自分の履修する授業を確認し、そこからリンクされたアマゾンのオンラインショップで教科書を購入することができるようになったそうです。協定締結直後の昨年後期も、アマゾンの特設サイト「近畿大学教科書ストア」で教科書を購入することができたようですが、今年は学生の履修確認システムが直接オンラインショップにつながったことで、利便性が格段に高まったそうです。

教科書販売の世界はそもそも既得権益の世界で、この「今さら?」というレベルの「改革」を断行するのですらさまざまあったようですが、学生にとっては、教科書一斉販売時期の学内書店の大混雑を回避できるので好評のようです。また、この連携によって、大学が発行する授業計画を必要に応じて印刷する「プリント・オン・デマンド」も出来るようにしたそうで、それまで数百ページに及ぶ授業計画を印刷製本して学生に一冊ずつ配布していたものを大幅な事務合理化とコスト削減に繋げました。

大学改革も一歩一歩なのでしょうが、近畿大学のように実践的な大学が増えて行けば日本の産学連携のレベルもさまざま変わっていくことでしょう。

2015年4月5日日曜日

ルミネ動画炎上事件

先日、ルミネがYouTubeに公開した「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」と題したプロモーション動画が大炎上し、不買運動にまで発展しました。公開された二本の動画は即座に非公開となり、ルミネも謝罪に追い込まれました。

ところで、業態にもよりますが、商売の世界では、メーカー、流通、顧客のパワーバランスが時代と共に変遷してきました。ユニークで強い商品を持っていれば当然メーカーが強い立場に立てます。

家電の世界でいえば、昔のソニーがそうでしたし、今のアップルがそうです。しかし、デジタル家電の時代になって、多くのメーカーが似たような競合商品ばかり作るようになると、流通の立場が一気に強まりました。そしてその後、ネットが普及して、今や顧客が最も強い時代になったといえます。

購入商品や店の対応が気に入らないと、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアに顧客がさまざまな書き込みを行い、それが瞬く間に拡散していきます。メーカーや流通各社は顧客の不満への対応を誤ると、たちまち商品の悪評が過度に広まったり、ブラック企業のレッテルを貼られてしまいます。実店舗を展開する小売業は、ネット通販の拡大でいわゆる「ショールーミング化」への対応にも苦慮しています。

ネットインフラが発達し個人の力がエンパワーされる素晴らしい時代ですが、商売の舵取りは難しくなる一方です。迷った時には「顧客満足」の原点に戻ることを忘れないようにしたいと思います。

2015年3月5日木曜日

地方創生のモデル都市、富山市

今月、いよいよ北陸新幹線が開通する。東京と北陸地方とを結ぶ新たな動脈がもたらす経済効果に期待する人たちは多い。そんななか、先日、富山市を訪問した。

富山市は、コンパクトシティ構想の下、「団子と串」というコンセプトの都市構造形成に取り組んでいる。各市町村を「団子」、それを結ぶ鉄道やバスなどの公共交通を「串」に見立て、市内の中心部を環状型にライトレール(路面電車)などで結びながら商業施設などの都市機能を集中させ、そこから各方面に繋がる沿線の居住地域には補助金を出すなどの形で、高齢化社会にも耐えうる効率的な街づくりを目指してきた。これは、地方都市再生のモデルとして、ほかの地方都市にも大いに参考になる取り組みとなっている。

実際、富山市は、2008年7月に低炭素社会の実現に向けた先駆的な都市として「環境モデル都市」に選ばれている。さらには、2011年12月に、その構想が、地方都市の課題を解決する有望なモデルになりうると評価され、「環境未来都市」にも選定された。

また、2012年6月には、OECD(経済協力開発機構)によって、メルボルン、バンクーバー、パリ、ポートランドと並んで、コンパクトシティの先進モデル都市にも選出され、世界的にもその評価を得るに至っている。環水公園周辺など、神通川や運河の景観を生かして街並みも美しく整備されており、まるでドイツなどヨーロッパの街並みを思わせるような雰囲気もある。

また、日本海側の岩瀬地区に行くと、その昔、北前船といわれる北海道との交易船の拠点として廻船問屋が栄えた地という歴史を大切にした街づくりが行なわれている。通りに面した建物の表側を地域単位で改装して、江戸時代の古い街並みを再現し、そこにギャラリーや工房やレストランや酒蔵を作るなど、京都の町屋の再開発に似たような取り組みで趣のある一角を形成している。ここにアーティストやデザイナーなどが集まり、まさに地域ルネッサンスのような活動の拠点ともなっている。

市内にある『樂翠亭(らくすいてい)美術館』などは、日本家屋の佇まいや日本庭園の景観を活かした素晴らしいアートの空間となっている。また、春日温泉まで足を延ばすと、『リバーリトリート雅樂倶(がらく)』というリゾートホテルがあり、その中のLevoというフレンチレストランでは、地域の作家が作った食器や家具と見事に調和した谷口シェフの素晴らしい創作フレンチを堪能することもできる。

東京一極集中の結果、その反動で日本の地方が抱える課題は多いが、一方で、さまざまな地方都市に行くたびに、日本人も知らないような素晴らしい発見もたくさんあり、日本の秘められた可能性を感じずにはおれない。

富山市が目指す「お団子と串」の都市構造
資料提供:富山市

2015年1月12日月曜日

無財の七施

2015年を迎えました。新年おめでとうございます。本年が素晴らしい年となりますことを祈念しております。

お釈迦様の教えに「無財の七施」というものがあるそうです。「お金をかけない」で人に喜んでいただくことが人間関係においてもっとも喜ばれることである、ということで、そういう生き方や態度を奨励するものです。

▼「無財の七施」
 1.優しいまなざしで人に接する(眼施・げんせ)
 2.温かい笑顔で人に接する(和顏悦色施・わげんえつじきせ)
 3.思いやりある言葉をかける(言辞施・ごんじせ)
 4.人のために手足を使い汗を流す(身施・しんせ)
 5.感謝の心で人に接する(心施・しんせ)
 6.自分の席や場所を譲る(牀座施・しょうざせ)
 7.一夜の宿を人に提供する(房舎施・ぼうじゃせ)

お金をかけずに態度や体で示す行為がいちばん人に喜ばれ、お金や物を使って喜ばれる行為をするよりも優先度が高いという教えです。こういうことは当たり前の話のようにも聞こえますが、実際に実行するのは簡単ではありません。いろいろと手間がかかったり、努力が必要となります。「笑顔」ひとつとっても、いつでも誰にでも実行できるものではありません。

昨年、YouTubeで見た2014年のTEDxSapporoのスピーチで、植松努さんという方が、「どうせ無理」という言葉をこの世から無くしたい、と熱弁を奮っていました。夢や希望を持って頑張っている人たちに対して、冷たい態度や心無い言葉で接し、そのやる気や自信を奪っていく周囲の人たちの存在が世の中の活力を削いでいる、という主張で共感するものがありました。世の中、実際には「無財の七施」の逆の行動をとる人のほうが多いということだと思います。

日本には「出る杭は打たれる」という言葉があります。こういう言葉が生まれるのは、日本の社会に根強くそのような体質があるからでしょう。最近の言葉ではKYというのもありますが、場の空気を乱し、出しゃばる人はとにかく嫌われます。何事も謙虚に、自分をアピールするよりも周囲に気を遣い、まずは相手を立てる、これは日本が長い歴史のなかで培ってきた美徳のひとつでもありますが、周囲と違うタイプの人を仲間外れにするような風潮は「いじめ」にもつながっており、改めなければならないものです。

昔のソニーでは、求人広告に、「出る杭求む!」や、「英語で啖呵の切れる人求む!」というようなキャッチコピーを使っていました。創業者のひとりである盛田昭夫さんも、「私は生意気な人が欲しい。ソニーというのは生意気な人の個性を殺さない会社です。」と発言しています。また、ソニーと並ぶ戦後企業の代表格であるホンダでは「能ある鷹は爪を出せ!」と言っていたそうです。それはなぜかといえば、世の中のイノベーションというのは大抵そういう人から生まれるということを知っていたからなのでしょう。やはりソニー出身で、ニューズワークステーションやAIBO等のロボット開発を手掛けた天外伺朗氏こと土井利忠氏は、『人材は「不良社員」からさがせ』という本を出しています。

直接お目に掛かったことはありませんが、昨年、青色LEDの実用化でノーベル物理学賞を受賞した中村修二教授などもまさに出る杭の典型だったようです。日亜化学工業時代の中村氏は相当な変わり者で、会社命令を一切無視し、人にも合わず、電話にも出ずに実験装置の製作に没頭していたと言いますし、特許訴訟に至った行動や言論は世間でも大きな話題になりました。

ただ傲慢な人や生意気な人が、必ずしも出る杭というわけではないでしょうし、そういう人をやみくもにちやほやしたところで、イノベーションを生み出すような偉業を達成するとは限らないと思います。しかし、真に出る杭な人たち、すなわち、打たれても打たれてもへこたれず、自分の信じる道を貫いて必ず結果を出すような馬力の持ち主に対しては、まずは世の中の人たちが上記の「無財の七施」を惜しげなく思いっきり施してはいかがでしょうか。夢や信念を持ってチャレンジする人たちにとっては、周囲の応援や激励や手助けが何よりの活力になるでしょう。もちろん、その上で、最後には「お金の支援」もしてあげれば、それだけでさまざまな「夢」が実現する世の中になるのではないでしょうか?

アベノミクスの成長戦略の最も有効な施策は、実は「出る杭たちへの無財の七施」に尽きるのではないかと思います。

2014年12月31日水曜日

大晦日から元旦へ

日本人の一人として、日本に生まれてよかったと心の底から思える瞬間は数多くありますが、大晦日や元旦もそうです。

「師走」は文字通りの慌ただしい日々が続きますが、これは、年が変わる前に仕掛かったことをすべてやり遂げてしまおう、という日本人の「けじめ」を大切にする精神性から来ているように思います。それに加えて、クリスマス商戦、年末の大売り出しなど、商売の面でも年の瀬はかき入れ時で、多くの人達が本当に忙しく動き回っています。

それが、大晦日を経て元旦を迎えたとたん、急に静かで清らかな雰囲気へと一変します。暦が一日切り替わっただけなのに、「動」から「静」へと、世の中が一瞬で転換します。大晦日から元旦に切り替わるこの瞬間は、過ぎ去った一年を想い、新しく始まったばかりの一年への決意や期待が交錯する特別な時間です。この瞬間を大切に思う気持ちは世界共通だと思いますが、さまざまなしきたりや行事の多さからみても、ことさら日本人のこだわりは強いのではないでしょうか。

さて、先日の衆院選は、当初の予想通り、戦後最低の投票率で盛り上がりに欠けたまま与党の圧勝に終わりました。自民党はこれで禊(みそぎ)が済んだつもりになっているのかもしれませんが、年明け以降、驕ることなく、幾多の難題に是非気持ちを新たに取り組んで欲しいものですし、我々も頑張らねばなりません。新しい年が素晴らしい年となることを心から願っております。

今年も皆様には大変にお世話になりどうもありがとうございました。どうか良いお年をお迎え下さい